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僕と彼女の恋愛観と人生観についての記述 〜第1話〜

  • 執筆者の写真: Note Kaede
    Note Kaede
  • 2019年5月10日
  • 読了時間: 3分

始まりと呼ばれるものは、しばしば終末であり、

終止符を打つということは、新たな始まりでもある。

終着点は、出発点である。

―T・S・エリオット

■□■々々々■□■


三月二十三日


 知らないふりをしていたかった。目前に映る、この明白で明瞭な疑いの余地のない事実を、僕は疑いの目を持って見つめていた。目をそらしたくなるような惨状だけれども凝視してしまう、そんな矛盾した状況下が生まれたのは、彼女が血を流してしゃがみこんでいたから。愛する彼女がこんなことになっているというのに、僕は何もすることができない。第一、僕は血が苦手だし、一〇九番をしようにも手が震えて携帯電話を取り出せず、叫ぼうにも声帯が震えるだけで音が発せられない。助けようという気持ちも更々湧いてこない。なんて僕はどうしようもない奴なんだろうか。

 僕が彼女に初めて会ったのは、昨年四月の下旬の事だった。夕日の下、葉桜の並木を他所に、僕たち二人は手を取った。それからもうすぐ一年になる。でもその時は、こんな大事が起こるだなんて思ってもみなかったし、彼女が本当はこんな人だったなんて知りもしなかった。後悔は先には立たないらしいが、後悔という名の航海が漂流に変わらぬうちに、この高校二年生としての彼女との記録を、記録を、思い返したい。ここはひとつ落ち着くまでだ。後の事ははもうどうでもいい。もう知らない。そうして僕は未来に知らないふりをする。



男が本当に好きなものは二つ。危険と遊びである。

そしてまた、男は女を愛するが、

それは遊びのなかで最も危険なものであるからだ。

― ニーチェ

■□■々々々■□■


昨年4月


 恋愛とは、僕にとって無縁なものである。気にした事も無いし、どうでも良いと思っている。ニーチェの言うように恋愛は遊びの中で最も危険なものだとは思わない。と言うよりかは、恋愛を遊びだとも思わないし、仮に遊びだとしても、僕は危険なことは余り好きではない。嫌いではないが、僕はそんなものを恋愛には求めないし、そもそも僕の人生は恋愛を求めない。一般的には、男子諸君は特定の女子に対して「可愛い」だとか「綺麗」だとか、そういった感情を持つはずである。そして「ずっとそばにいたい」だとか「一緒にいると落ち着く」だとか、そういったものを考えるものもいるだろう。その逆も然り、女子はイケメンに対し同じことを思うはずである。だがしかし、僕にはそれがない。変な話だが、別に女子の体にも興味がない。例えば、「胸の大きさ」について聞かれれば、「別に体とバランスが取れていれば、サイズは余り関係ない」というのが僕の意見である。まあそれはそれとして、僕の彼女を作る気の無さが可笑しい事は、自分自身、重々承知している。百も承知で、おっとガッテン承知の助だ。これに関しては、友達どころか、親にも心配される始末だが、正直放っておいてほしいとすら思ったことがあった。

 そんな僕、瑠川 和人(ルカワ・カズト)の中の定説は、たった一人の少女により、人生十七年目にして崩落した。音を立てて崩れ落ちた。あの日の出来事は、僕の人生上の大事件であった。

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